楽しかったNEWSの広島公演が全部終わって、友達と一杯飲んでとても気分の良かった帰り道。X開いたらタイムラインがちょっと不穏で、ああ、レポが出回ってるのかなと思った。トレンドに入っていた「まっすー」をタップできなかった。フォームは夜公演の前にお休みにしていた。そうして良かったと思った。もしかしたら、私の杞憂かもしれないけど。それだったら別にいい。

 

一晩眠って、早朝に目が覚めて。寝起きの頭で、「世界がひっくり返って、自分の一番大切にしていたものを大切にしてはいけなくなる」って、どんな気持ちなんだろうと思った。その辛さを、増田さんに押し寄せている喪失感の大きさを、私は想像できていなかった。いつだって「完璧」でいてくれたまっすーからこぼれ落ちた人間臭さを、私はどうしても、それすらも愛しいと思う。他人から「正しくない」と、言われたとしても。

 

ファンの前で、「ジャニーズの増田貴久」でいられる最後の日だった。手のひらに「ジャニーズ命」(命って漢字は間違ってたけど笑)と書いて見せてくれた。Hey!Say!JUMPのUMPを、「J!Johnny‘s!」って俺が歌い続けるよみたいに言った。小山さんが、JUMPの決断はすごい、えらいと思うみたいにフォローしたので少しホッとした。でもきっと、燃えちゃうな〜って胸が少し痛んだ。挨拶の、「ジャニーズ事務所は永久に不滅です」という言葉も。増田さんはただ、自分が一番大切にしてきたものを、事務所のみんなが大切にしてきたものを守りたかっただけなのだと感じた。その最後の足掻きみたいなものに、私はたまたま立ち会ってしまった。直後の、「泣いてるんじゃないか」って思ってしまうぐらい、魂の全部を燃やして歌っているような増田さんの歌に圧倒された。「一人じゃないよ」って言った増田さんに、誰よりもそう伝えたかった。

 

NEWSの20年のうち、私は10年をともに過ごした。その10年の間にも何度も何度も転んだグループだけど、そうした中で何度増田さんの揺るがない、「ジャニーズ事務所のアイドルとしての誇り」に助けられたのかわからない。それが無かったら、NEWSはどうやって20年も続いたんだろう。想像できないほどの強靭な柱で、アイデンティティで、そんなまっすーをみんな大好きで。「ありがとう」って伝えて、ずっと大事に一緒に守ってきた。その20年の歩みを、個人としては20年以上の歩みを、突然バチンと断ち切るって。「そうしないといけない」って、頭ではわかったとしても心はついていけないんじゃないか。その心が、ポロポロと見えてしまったのではないか。増田さんが言った言葉を文字に起こしたら心までは見えないけれど。っていうか生で見てても心までは見えないけれど。なんか、今までに感じたことのないものを感じた。「痛み」とか「葛藤」みたいな言葉を書いては消して、一番適当なものが思いつかない。なんかもっと複雑でぐちゃぐちゃだったかもしれない。わからない。

 

私は今はただ、増田さんのことを見守りたい。これから気持ちの整理をするのは時間がかかると思う。もしかしたらいつまでも、本当に整理がつくことはないのかもしれない。それでもいい。心の奥底に、しまって鍵をかけてもいい。増田さんのしたいようにして欲しい。増田さんから、これ以上何も奪いたくない。

 

「誰のことも置いてけぼりにしない」と小山さんは言った。ファン向けの言葉だけど、私は増田さんを置いてけぼりにしたくない。歩く速さをゆるめてもいいから、一緒に、進んでいきたい。