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ラッコの海水浴

なんか色々アイドルとか

ルルーシュとともに10歳年を取った

 

十年前、私は高校一年生だった。

入学した先の高校で順調に友人を作り、箸が転んでもゲラゲラ笑うような女子高生だった。クラスにはアニメ漫画好きな子が多く、ギャグマンガ日和が流行り「わたしとあなたは友達じゃないけど わたしの友達はあなたと友達」と誰もが歌えた。テスト前は教室で放課後に勉強し、そのことを「馬鹿の集い」と呼んでいた。その「馬鹿の集い」にいた友人に、福山潤櫻井孝宏のファンがいた。彼女らは「今度コードギアスっていうアニメが始まる」と私に教えてくれた。当時の私の主な興味は漫画で、アニメは好きな漫画原作の場合のみ例外だった。友人らは福山潤櫻井孝宏目当てにコードギアスを見ていて、12月頭に一緒に「ルルーシュの誕生日だから」とケーキを買って食べることになった。ケーキのプレートには「誕生日が近いから」という理由で一緒くたにされた阿部隆也おおきく振りかぶって)というキャラの名前も書くことになり、注文するときに色々とひよって「誕生日おめでとう るる&たかや」と書いてもらった。一体どういう双子だよという感じだが、「たかや」が「たくや」に誤字されたことも含めて鮮明に覚えている。これが私のコードギアスとの最初の思い出だ。

 

その二年後、つまり八年前、もう一度コードギアスが放送されると小耳にはさんだ。そういえばあの子たちが好きだったな、と思い出し「前回はどういうふうに終わったの?」と尋ねると「なんかスザクとルルーシュが銃で撃ちあって、ブラックアウトして半端に終わった」と返された。なんじゃそりゃ、意味が分からん。意味が分からないものの、時間帯が深夜から日曜夕方に移ったこと、高校三年生で「大学受験」の四文字が見えてきて現実逃避がしたかったこともあり第一話を見ることにした。それが、運の尽きだった。

コードギアス反逆のルルーシュR2に、私はどハマりした。どこをどう面白く感じたのか、どういう過程でハマっていったのか今となっては思い出せない。第一シリーズを途中まで見てR2を見て…と不完全な状態でハマれたのも今の自分からすれば考えられない。ただ回を重ねるごとにのめり込んでいって、のめり込んでいく途中で意図せず友人を巻き込んで(「コードギアスを見ている」という話をしていない友人から、ある日突然「しきちゃんなんでこんな面白いアニメ見てるのに教えてくれなかったの!?○○ちゃんからしきちゃんが見てるって聞いて私も見たよ!!」と理不尽に怒られた)、正体不明の「熱」が私と周りを覆っていった。毎週コードギアスを見るのが楽しみで、日曜日は図書館にこもって勉強し、夕方五時に間に合うように自転車をかっ飛ばして帰った。翌日の月曜日は友人らと大感想大会で、「どうなっちゃうんだろう!?」とこの先の予想を立てては外した。毎週毎週驚かされていた。主人公のルルーシュの、その苛烈な生き方を含む全てが大好きになった。そうして迎えた最終回の日、その日はたまたま両親が不在でリビングの大きなテレビを使って見る事ができた。友人と予測した最後はほとんど外れ、絶対にそんなこと起こりえないと思っていた事が起きた。物語にこんな終わり方があるのか。アニメを見て声を上げて泣いたのは後にも先にもこの日だけだった。翌日は友人と顔を合わせた第一声が「「ルルーシュが」」だった。昼休みに流れて来る曲の歌詞を「これってルルーシュじゃない?」と言って二人で黙り込み、別の友人に「重症すぎる」と引かれた。最終回が終わってから約二週間は、何をしていても突然涙が出てくる瞬間があり母親を心配させた。幸いにして大学受験に影響はなく、志望校には無事合格した。

 

あれから十年経った。女子高生だった私はもうすっかり良い大人で、趣味もなんだか色々変わった。ただ、時が経つほどに、コードギアスがいかに自分の人生に大きかったかを実感させられる。コードギアスを通じて沢山の人と出会った。別れもあった。楽しいことが沢山あった。失敗もあった。笑ったことも泣いたこともたくさんある。ただの一つのアニメ作品だが、その隣に私の人生がある。そして今日もまた、コードギアスを通じて出会った友人たち(もう5年ほどの付き合いになる)と十周年記念イベントのライブビューイングへ行った。イベントの中のダイジェスト映像でも号泣し、もうこれを超えるアニメ経験はこの先の人生にないと痛感した。「コードギアスを超えるアニメを見たい」とずっと言っていたのに、いつからかそれを諦めるようになった。作品の完成度とかでなく、人生経験としてコードギアスを超えるものが、おそらくもう無い。

 

だから今日、コードギアスの十周年を記念したイベントで「復活のルルーシュ」という新たな展開が発表されて私は嬉しかった。八年前に大泣きした当時の私ならば「そんなことするな」と苛烈に怒ったと思うが、何といってももう八年も経ったのだ。良い大人になった。八年間も好きにさせてもらった。だから製作陣にこそ、この先も「好きにしてほしい」。コードギアスを超えるアニメが私の人生に無いのなら、あとはもうコードギアスに骨を埋めるしかない。そう覚悟を決めた途端、なんだか笑ってしまいそうになった。一体私はコードギアスの何なんだ。コードギアスは一体私の何なんだ。本当におかしい。

 

 

ライブビューイングを見終わった帰り、「これからの十年もよろしくお願いします」と頭を下げて友人と別れた。いい挨拶ではないですか。これからもどうぞ、よろしくお願いします。