BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 be there 2023.2.11有明アリーナ

 

 

BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 be there
2023.2.11 有明アリーナ セットリスト

01.アカシア
02.グングニル
03.天体観測
04.なないろ
05.才悩人応援歌
06.クロノスタシス
07.Flare
08.66号線
09.ベル
10.新世界
11.SOUVENIR
12.Gravity
13.スノースマイル
14.サザンクロス
15.GO
16.ray
17.fire sign
encore
18.ホリデイ
19.ガラスのブルース
20.BUMP OF CHICKENのテーマ

 

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去年の7月ぶりにBUMP OF CHICKENのライブに行った。アリーナツアーの初日で、27周年の結成記念日。新型コロナウイルスの流行でイベントごと全般が出来ない時期があり、開催しても声を出せない期間が三年もあり。去年の秋に緩和されたけれども、全面的に声出しOKとしたライブに行くのはこの日が初めてだった。開演前のアナウンスでも、アーティストに向けた声援や歌うことが許されると伝えられる。こんなに短いスパンでBUMPがツアーをやるのは、ひょっとしたらライブ自体できなかった二年間を埋めるためなのだろうか。開演を待っていると、後ろの席にいた人たちが「(ツアータイトルの)"be there"って『そこにいるよ』って意味らしいよ」と話していたのが聞こえた。私は『そこにいてね』だと解釈していたので、少しだけ違った。

 

音楽は、その日の自分のコンディションによって聞こえ方が全然違う。今まで普通に聴けていた曲が、突然刺さりすぎて息ができなくなることがある。この日は「Flare」がそれだった。刺さった歌詞を引用したいと思ったら全部引用しないといけない。最高のライブに行くといつも「生きてて良かった」と思うのに、今日だけは「生きてて良いんだ」と思った。

 


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自分にしか出来ないことってなんだろう
終わったって気付かれないようなこんな日々を
明日に繋ぐことだけはせめて
繰り返すだけでも繰り返すよ

何が許せないの 何を許されたいの
いつか終わる小さな灯火

 

Flareに続いた66号線は、ちょうど対になるようだった。7月のライブのときに、「一番しんどい時に支えられたから、君が一番しんどい時に支えたい」と語っていた藤くん。その言葉と想いがそのまま、音楽になったようだった。ピンスポットを浴びて、静寂の中歌い上げたフレーズが目と耳にこびりついている。

僕にだってきっとあなたを救える 今でも好きだと言ってくれますか
あなたを無くしても僕は生きてく それでも信じていてくれますか

 

この日は声出しがOKになってから初めてのライブで、多分それを一番喜んでいたのはメンバーだった。初日だというのに、まるでツアーファイナルみたいに最初からMAXで感極まっていると言っていた。「声を出していいんだって」という話の中で、それでもマナーはあるから、隣近所の人に迷惑をかけないように。声を出さずに静かに聴いていても、誰も「あいつノリが悪いな」なんて思わないから大丈夫だよ。そう話してくれるところが、すっごく好きだ。そういうところを信頼できるから、ずっと大好きでいられる。

その後、「声を出せるからこの曲ができる」という言葉に続いて「新世界」が始まって驚いた。この曲を、声がないとできないって思ってたの!?新世界を歌う藤くんはとても楽しそうで上機嫌で、ハンドマイクを持ってひょうきんに走ったりしながら「ベイビーアイラブユーだぜ」を互いに歌い合った。なんかもう照れてしまう。声を出せるようになって良かったなぁ。

 

終盤の4曲は私にとって、くしゃくしゃに潰した自己肯定感を丁寧に広げて伸ばす作業のようだった。2021年の配信ライブで歌われて、私を含め多くの人の胸を打った「サザンクロス」。自分の全てを肯定してくれるような「GO」と、「生きるのは最高だ」と口に出せる「ray」。 大合唱の「fire sign」。マイナスだったメンタルを0に戻して、最後は少しプラスにしてくれるようなセットリストだった。自己肯定感が地面にめり込む日がここ最近あったけど、そんな日はBUMPを聴けば良かったんだ。背骨どころではない、BUMP OF CHICKENの音楽は心臓で血液だ。

 

 

アンコールは手拍子から始まり、スタンドではsupernova、アリーナではfire signを歌って次第に混ざりあった。Tシャツに着替えた4人がまた出て来て、「久しぶりにこの曲をやります」と言って始まった曲に思わず声が出た。

失敗しない後悔しない人生がいいな

ほ、ほ、ほ、ホリデイ!?!?あまりの懐かしさに仰け反った。今の自分のiTunesには入っていなくて、聴くのも多分15年かそれ以上ぶりだった。聴き込んでいた当時の風景が走馬灯のように蘇る。帰りにCD販売に寄って、収録されてるアルバムを買って帰ろう!!そう心に決めた。

 

ホリデイの後、客席から「結成記念日おめでとう」という声がかけられ、今日が結成日であることに触れた。「一言で言うとありがとうだけど、一言じゃ伝えられない『ありがとう』なんだ」と言い、この気持ちを全て曲に込めるから聴いて欲しいと言った。「ガラスのブルース」はいつまでもみんなにとって特別な曲で、声を出せるようになった今、より一層それを強く感じた。幕張で空白だった部分に、歌声が帰ってきた。27年もバンドを続けてくれて、音楽を続けてくれてありがとう。いつかBUMPに終わりが来たとしても、今日のような夜を思い出すから大丈夫だ。

ガラスのブルースも終わって、記念撮影も終わって3人が捌けた後。藤くんは「いつも喋りすぎちゃうから、今日は早く帰るイメトレをしてきたんだ」「でもやっぱり、帰りたくないよなぁ」と言ってギターを持った。「冬が寒くって本当に良かった…はもうやったもんなぁ」と冗談交じりに笑い、何を歌うか思案して「今日は結成記念日だ」とひらめいた顔をした。初めて生で聴く、「BUMP OF CHICKENのテーマ」!!「へなちょこバンドのライブに行こう」と歌い始めると同時に、袖から3人が走って出て来て加わった。この形のダブルアンコールを見るのはもう何度目かだけど、何回見ても胸がいっぱいになる。どうか4人が健康に過ごして、できるだけ長くBUMP OF CHICKENとして音楽を続けられますように。

 


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帰り際、有言実行でカップリング集を買った。真っ白いジャケットが、まるで雪みたいだね。

 

*おしまい*