卒業してゆく。

2019年の5月に、かえでぃー*1に落ちた。その時のブログがこれである。

 モーニング娘。'19 コンサートツアー春 島根県民会館で推しが増えた話 - ラッコの海水浴

 

この翌月、私はモーニング娘。を追いかけて(正確には先回りして)台湾へ行った。初めての海外遠征で、ずっとやりたかった「空港で到着を待ち構える」もできて、楽しすぎて浮かれまくった。浮かれまくって、イタリアンレッドのロングスカートを穿いてファンミーティングへ行った。そこで、衝撃的な出来事があった。

ファンミーティングは台北大学の体育館で行われ、現地ファンか海外についてくほどの精鋭オタクしかいなかったので、かなり席が空いていた。一応チケットの値段によって座席位置が変わる方式だったが、二階スタンド部分はマジで全然人がいない(一階も空いているので、多分降りたければ降りられたレベル)。空港でお会いした現地のファンの方に聞いてみると、「どこでも好きなところで見ていいよ」と言われた。本当にぽつぽつとしか人のいないスタンドで、じゃあこの辺りにしようか…とステージに近い下手のサイドスタンドを選んだ。繰り返すが、マジで人がいないので立ち上がると自分の全身がステージから見える。そんな場所だった。それによって、何が起きたか。

かえでぃーが私をめちゃめちゃ見るのである。

ファンサを貰ったり目が合った時、「私かもしれないけど勘違いかも」と思うことはよくあると思う。勘違いしようがない、隣にいる友人が「かえでぃーめちゃめちゃ見てるよ!」と爆笑するぐらい、一回とか二回とかではなくずっと私をガン見するのである。赤のキンブレを持って振りコピしていた私は、見られすぎて「見よう見まねで下手くそなのがバレるどうしよう」とパニックになった。現地のおたくと勘違いしたのかもしれない、だとしたら申し訳なさ過ぎて消えたい。めっちゃ良い思い出だけど罪悪感もあって、3年間秘めてきた。あの時はごめんなさい、でも、多分一生思い出すぐらいすごくすごく嬉しかった。

 

 

 

2022年9月にかえでぃーの卒業が発表されたとき、「やっぱり」と思った。ちぃ*2の卒業後、次に卒業するのは誰だろう?と友達と話すたび、私はかえでぃーの名前を出していた。一番の根拠だったのは、オンラインサイン会の中でかえでぃーがぽろっと言った「何故アイドルをやっているのか分からなくなる時がある」という言葉だった。でも、こんな直接的な言葉が無くても感じるものはあった。TikTokで「好きなダンス」を踊るかえでぃーを見ていたら、わかってしまう。

かえでぃーが、ダンスが大好きなこと。

そしてそれが、モーニング娘。のそれとは違うこと。

卒業が発表されてから、かえでぃーを惜しむ声の中で「もっと歌割があって推されていれば」「リーダーやサブリーダーになっていれば、あるいはその道筋が見えていれば」「このタイミングで卒業しなかったのに」というのが散見された。全然まったくそんなこと想わなかった。歌割が多かったとしてもかえでぃーは卒業したし、肩書を理由に卒業を遅らせたら、それはかえでぃーにとって「枷」だったのではないか。安定しているモーニング娘。にいたから、かえでぃーは「自分のこと」だけを考えて卒業を考えて決めることが出来た。私は、それでよかったと思う。17歳から23歳という、今後の人生を決める大切な時期を娘。で過ごして、この先の道を決めてくれた。ダンスという、間違いなくかえでぃーを一番輝かせる大好きなものを見つけてくれた。こんなに嬉しいことはないのに、涙が止まらないのはなぜだろう。それは、私が、ステージの上のかえでぃーを見るのが大好きだったからだ。この間教わったばかりの「悲しみは愛の代償」という言葉を思い出す。かえでぃーの卒業が発表されてから、本当に信じられないぐらい辛くて、「卒業ってこんなに辛かったか!?」と何度も戸惑った。それぐらい好きだったのだと、自分でも知らなかった。

 


結局一度もチェキを撮らなかったし、個別握手も行かなかった。最後のオンラインお話し会も、数十秒で伝えたいことはないと思って申し込まなかった。代わりに、紅葉の便せんに綴った手紙を出した。本人の手元に渡るまで何か月かかるかわからないけど、結びの「元気でいてください」だけ伝わってくれたらいい。

 

本当に、私はかえでぃーに何もしてこなかった。最初に貼ったブログに書いた通り、時々コンサートに行って赤いペンライトを振っただけだ。でも。

10月22日の仙台公演。三階席で赤いペンライトを握る私を、かえでぃーは指差してくれた。あまりのことに驚いて手が震えた。会場の構造上二階、三階の席がステージにとても近いこともあり、かえでぃーは客席を本当によく見ていると公演中ずっと思っていた。たった一本の赤い光に、意味を与えてくれたのはかえでぃーだ。この出来事も、台湾と併せて一生こすり続ける。

 

 

 

湿っぽいブログを長々と書いてきたけれど、書いているうちにだんだんと乾いてきた。一昨日放送されたテレ東音楽祭の後、ツイッターを見ていたらかえでぃーについて「もっと早く知りたかった」という声があった。それを見たら、憑き物が落ちたように心が凪いだ。

 


13期の加入が発表された武道館の日。公演直前の13期予想で、私は「かえでぃーにメンバーカラー朱色で加入して欲しい」なんてツイートしていた。ふくちゃんが「加賀楓!」と名前を呼んだ時の割れんばかりの大歓声を聞いた。新メンバーの発表で、あれほどの歓声を聞いたのは初めてだった。真っ白いワンピース姿で階段を下りてきて、うつむいて涙をこぼしていたかえでぃー。あれから6年後、同じ武道館で卒業していく。誰の目にも超かっこいい、モーニング娘。加賀楓として、大勢のファンに惜しまれながら。

 

たくさんたくさん努力をして、諦めずに夢を叶えたかえでぃーだから。きっと次の夢も、その次も叶うだろう。大きな怪我や病気をせず、ずっと元気でいて欲しい。これからも躍動するかえでぃーを、私も夢見ている。

 

 

 

 

おまけ

2016年12月12日のTwilogより

 

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*1:モーニング娘。13期メンバー 加賀楓

*2:森戸知沙希 2022年6月に卒業した14期メンバー