2026年5月に読み終わった本
『ABC殺人事件』アガサ・クリスティー
クリスティーを読むのは二作目。かの有名なABC殺人事件。これまた早々に「こういうことではないか」という迷推理をして見事に全然ちがった。オリエント急行もそうだけど、登場人物がこんなに多いのにあまり混乱しない。クリスティーは無駄がないのでこれに慣れると他の推理小説が冗長に感じるというのもわかる。登場人物の多さについていけなくて挫折した某有名ミステリー小説も今なら読めるだろうか。
『地方女子たちの選択』上野千鶴子、山内マリコ
山内マリコさんと上野千鶴子さんの共著。富山に縁のある女性たちへのインタビューから地方と女性について考える。10人ぐらいインタビューされているんだけど、生まれも育ちも富山の人、大人になってから富山に移住してきた人、富山を出て行った人、Uターンした人などさまざま。何の不満もなく住みやすいという方もいるし、もう二度と戻りたくないという人もいる。インタビューの後に山内さんと上野さんがインタビュー内容について話し合う対談があり、それを読むと自分では考え付かなかった共通点などが見えてくる。対談の中でも触れていた、富山の高校の現役合格至上主義って今も変わらないんだろうか? 教育現場の方針のせいで将来の選択肢が狭まっている学生がいるとしたら悲しい。あと、十四歳の挑戦という教育プログラムが職業選択に影響したという方が複数いて、すっげ~~!!!と思った。こういう良いところもあるんだけどね。
『茶色の朝』フランク・パブロフ
友達に借りて読んだ。この本を紹介した記事がSNSで流れてきたらしい。注目されているようで書店でも見つけやすい陳列になっているそう。本文はとても短くて、大人なら10分ぐらいであっという間に読み終わる。
ある日突然「茶色のペット以外は飼ってはいけない」という法律が施行され、茶色以外の犬猫を飼い主たちは安楽死をさせる。次第に「茶色以外は異端」とする範囲は広まっていく。 「それが決まりだから」「従っていれば不自由はないから」と受け入れて、沈黙を続けるうちに社会が、政治がどう変わっていくかを描いている。著者は著作権を放棄していて、この物語はフランスで爆発的に読まれたらしい。日本語でも全文が公開されている。
この物語を読んで、他の人にも読んで欲しい!って行動した人たちがいて、それが広まるんだからフランス社会はすごい。ほんまにさ~~~~~国旗損壊罪!!!何!?!?!何が怖いって自民党内部ですら疑問視されているのに、推し進める一部が力を持ちすぎていて誰も止めないってこと。何かあって罰せられるのは一般市民なんですけど~~!?!? こんなばかばかしいことはやめろって私は言ってやるからな。茶色の朝なんて嫌だ~~~!!!
世界中でいま、国粋主義や排斥主義が勢いを増している。こうした潮流に抗するには、私たちは何をすればいいのか。
「唯一の道は、警戒を怠らず、権力に対して日々、注意深くあり続けること。些細なことだと躊躇せず、ノンと、あるいは『それはやりすぎだ』と声をあげること。さもないと、私たちの日常にも、あっけなく『茶色の朝』が訪れることになるのです」
国旗損壊罪創設については議論を避ける空気さえある。党三役経験者は「何を守るための法制化なのか疑問だが、反対すれば裏切り者扱いされる」と漏らす。
『月の裏側』恩田陸
怖かったけど、怖いだけじゃない不思議な話だった。そうだ恩田陸ってこういうホラーっぽいのが得意なんだった……。家で一人のときに読むのは怖い。実写化すると途端にチープになりそうなので、こうやって「怖いよ怖いよ……」って本で読むのが一番良い。脳内で木村拓哉・加藤シゲアキ・麻生久美子をキャスティングした。それにしても相変わらず爆速で読める、恩田陸のリーダビリティすっげ~~~~
『弾劾可決の日を歩く "私たちはいつもここにいた"』編著 岡本有佳
シェア型書店で買ったZINE。韓国のユンソンニョル元大統領の弾劾可決までを日本の記者が追った。戒厳令が発令された日は私は早々に寝ていたので、寝て起きたら解除された後で、一体何があったのかと驚いた。この本の中では戒厳令だけでなく、それまでユン政権が行ってきた表現の自由の規制なども詳しく取材されている。韓国でこんなことが起きていたんだ……。全然他人事ではない。戒厳令を解除するために大勢の人が深夜に国会周辺に集まったことはニュースで見たけど、その後も大統領の弾劾を求めて抗議活動をする人が大勢いた。韓国の冬はほんっとうに寒いのに、アルミシートに身を包んで夜通し座り込んだ方が何人もいた。全然知らなかった。。
戒厳令はすぐに解除されたけど、本当にあと少しで韓国が全然別の国になってしまうところだった。ジャーナリストやYoutuberなど、民間人を射殺する命令も出ていた。国会前で韓国の軍と非武装の市民が対峙していたけど、誰か一人でも引き金を引いたら一体どうなっていたのか。。ぞっとする。
日本で同じことが起きたとき、こんな風に深夜に駆け付ける市民や議員はいないだろうなと思っていた。それができた韓国の人たちはすごいと思っていた。でも、最近のデモに足を運んでいると、だんだんと「私たちにもできるかも」という気持ちになってきた。私が初めて行った総理官邸前のデモは100人ぐらいだった。でも、最近は国会前に30,000人ぐらい集まる日もある。日本全国全ての都道府県で連帯している人たちがいる。何かあった時、私は何が何でも駆け付ける人でありたい。様々な理由で叶わない人がいる中で自分は「できる」方の人間だから。いざというときは任せてくれ!そのための練習も引き続きがんばるぞ!!!(そんな日よ来るな~~~!!)
『まほろ駅前多田便利軒』三浦しをん
読み始めてすぐに実写映画のキャストが気になってググった。瑛太と松田龍平!いいねえ!!!タイトル通りまほろという街(モデルは町田)を舞台に、便利屋を営む主人公とそこに転がり込んできた同級生のバディもの。二人ともバツイチ。便利屋として依頼をこなしつつ、小さな事件や大きな事件に巻き込まれたりしながら、二人の過去が次第に明らかになっていく。シリーズものだから続きがある!やったー!!かなり読みやすくてあっという間に読んだ。娯楽としての読書の良さを思い出す。楽しかった。
『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス
道端に捨てられていた本の中からもらってきた一冊。家に帰る途中、段ボール箱を覗き込んでいる人がいたので「おっ!?捨て猫か!?」と続いて覗き込んだら本だった。本棚のように背表紙が見えるように詰められていて、さらに斜めに立てかけてあったので「この本は捨てるけど欲しい人は持って行ってください」というメッセージを感じた。これも何かの縁と思って目に入った『アルジャーノンに花束を』を持ち帰った。1999年の版で、帯も発売当時のもの。(※↑の画像は新装版なので私が拾った版とは違う) ダニエル・キイス来日公演の応募券を兼ねていた。時代~~~!!!
毎日少しずつお風呂で読み進めた。日記のような形式なので、少しずつ読み進めるのにちょうどいい。読み終わって、改めて表紙を見てでっかい溜息が出た。今までで一番美しいタイトル回収。この本は手放さずに長く持っておこう。
『地球の果ての温室で』キム・チョヨプ
だ~~~~~~~いすきな韓国のSF作家キム・チョヨプさんの長編小説。今まで短編集しか読んだことがなかったけど、長編もすごくよかった。長編は少しずつ世界の全容が明らかになっていくのがいい。「ダスト」と呼ばれる危険な物質が大気中に蔓延し人類滅亡の危機に瀕した地球。危機の最中(ダストフォール)と、危機を脱した後(復興期)を行き来する形で描かれている。「こんな絶望的な状況からどうやって世界は復興したの?あの人は誰?どういうこと?」と気になってどんどん読み進めたくなる。訳もすごく読みやすいし、表紙のイラストも好き。韓国文学に初めて触れる人にこそおすすめしたい!キム・チョヨプさんもっと読みたい。訳を待たずに済む韓国の読者が羨ましい。







