午後休を取って、ダッシュで区議会の傍聴へ行ってきた。理由はこれ。
昨年11月、近所で発見した差別的なビラを区役所へ通報し、区議へ連絡した。「ぜひ議会で取り上げたい」と返事をくれた区議が、この度の一般質問で本当にこのビラについて質問してくれることになった。社交辞令じゃなかったんだ!!事前に連絡をいただいていたので、こんな機会は二度とないと思い駆け付けた。こんな時でも現場厨。
一般質問とは区議が一人ずつ区政について質問できる機会で、うちの区では各区議につき年に一回しか機会がない。持ち時間は一人25分。区議が25分かけて質問した後、区長と区役所の担当課が20分で答える。
午後休を取っても質問開始の13時には間に合わず、13時10分ぐらいに滑り込んだ。まず、場所がわかりにくい!区役所庁舎のワンフロアだけど、本当にこのまま行っていいのか?って感じだった。フロアに着いてもどこが入り口かわからなくて右往左往していたら「傍聴ですか?」って遠くから受付の人に声をかけられた。受付で入場証に名前と住所を書いて、「中ではスマートフォンを切ってコートを脱いでください」と言われた。
中へ入ると、傍聴席の人たちが一斉にこっちを向いた。全然人いないかと思ってたけど、意外といる。ご年配の人がほとんど。みんな端っこに座っているので中が空いてても入りにくく、急いでいるので空いていた通路席に座った。結果としてちょうどど真ん中、議長の正面。既に質問が始まっていて、右側の壁にかけてある電光掲示に経過時間が映っていた。こうやって時間管理してるんだ~。傍聴席にはモニターが設置されていて、そこには議員が読み上げた質問がリアルタイムで文字起こしされている。これは手動なのか自動なのか不明。そっち側に座っている人は、画面を見ているんだろうか。
ビラに関する質問はまだだったので、待ちながら議場を観察した。手前で傍聴席に背を向けて座っているのが区議。奥で傍聴席に面して座っているのが区長と区役所の人たち。質問している区議は中央の台で質問を読み上げる。ぱっと見だと区議たちに向かって話しているように見えるので、どっちに向けての質問かわからない。議長と副議長は真ん中の高いところに座って全体を見下ろしているので、偉くなった気になるだろうな……と思った。
少し遅れて議場に入ったけど、質問時間25分というのは長く感じた。一問一答形式ではなく、質問を一度に全部読みあげてから答弁も一気にやるので、どうしてもスピーチを聞くみたいになってしまう。うつらうつらしている区議の名前はメモった。名前が360度どこからでも見えるようになっているのは便利だ。支給されているのか、全員iPadを机に載せていた。画面が傍聴席から見えるので、万が一Youtubeとか見てたらすぐばれる。
ビラに関する質問は次のとおり。
昨年末、区内で、電柱に差別的な張り紙が貼られており、
>公共物への無断掲示であり
>ヘイトスピーチ解消法の趣旨に反する内容
だと、区民の方から通報を受けました。Q 差別的な張り紙等を見つけた場合の対応について、
区民にわかりやすい周知が必要です。
差別禁止の取組強化、再発防止策とあわせ、工夫や改善を求めます。
お答えください。
この他にも区役所で女性管理職が増えないのは構造的な問題だとか、校則で見た目を規定するのはルッキズムだとか、通信簿は廃止すべきだとか、色んなテーマで質問があった。質問を通じて知ったこともたくさんあった。(校則における頻出ワードをAIで調べたというのが面白かった)
25分で質問を読み上げて、20分で区長と区役所の担当部署から回答があった。ビラに関しては、現在の対応(通報があったら職員が現場を確認して警察の見回り強化すること、通報窓口はHPに載っていること)を答えて、今後も周知していきます。みたいなほぼ現状報告だった。
…………これだけ?
議会で質問してくれるんですよ~と先日の読書会で話したら、新聞に勤めているという参加者が「すごいね。あれ答弁作るの大変なんだよな~」と言っていた。えっ……これだけだったら全然大変じゃなくない……?何も変わっていかなくない……?モヤモヤ。そもそも議会って何をするのか、区議と区役所と区長はどういう関係なのか。知ってるようであまりわかっていなかったことが増えていく。一通り答弁を聞いて、次の自民党の区議の質問をちょっとだけ聞いて、傍聴席を出た。
その他で気になったこと
・自民党の区議の質問になった途端合いの手が入るようになった。「がんばれー!」とかはともかく「すご~い!」は衆議院選直後で気が立っているので苛立った。
・答弁するときに区役所の担当部署の人が議長席に向けてピッ!と手を挙げて「○○部長!」等と申し出るのが、勢い良すぎてコントのようだった。
・寝てる人を数えたけど、25分質問→20分答弁という形式が単調で眠気を誘うのは理解した。
・区役所側は男性が30人、女性4人だった。これは女性登用をつつかれても仕方ないのでは?区議の方が女性比率が高かった。
・ほぼ全員黒いスーツなので、私のビラを扱ってくれた区議がお着物を着ていたのがとても目立った。
・一年に一度の貴重な25分で、引退する区長への謝辞に時間を割かないといけないのはもったいないと思った。謝辞の分は時間止めて欲しい。
・一年に一度の貴重な25分に、私のビラの件を入れてくれたのはありがたいと思った。
傍聴席を出て、区役所の一階に入っているカフェでうどんを食べながらChatGPTに浮かんだ疑問をばーっと聞いた。とにかく、議会での質問というのは「議事録で永遠に残る」ことに大きな意味があること、質問は「最初の一歩」であり、野球で例えると「フォアボールで出塁した」みたいな状態であること。この質問が議事録に残ることで、今後区内でヘイトスピーチや同類のビラがあれば「議会でこう質問されてこう答弁しましたよね」ということが根拠になること。あと、新聞社の人が言っていた「答弁作るの大変なんだよなぁ」は、どれだけ当たり障りない回答であってもそれを「議会での答弁とする」までにたくさんのプロセスがあり、そこが大変なのだという。というわけで、私が見つけた一枚のビラは、この区において「永遠に残る」事例となった。二枚目、三枚目が現れたときにこそ威力を発揮するのかもしれない。
うどんを食べた後、質問してくれた区議にLINEで御礼を送った。翌朝の返事には「ご挨拶させていただきたかった」とあり、「次回は是非控室にお越しください」とのこと。ご挨拶……!? 控室……!? まだまだ地方政治は未知の世界だ。ビラの件はいったん終わったけど、探求は続く。