9月に読み終わった本まとめ

9月に読み終わった本まとめ

わたしたちが光の速さで進めないなら (ハヤカワ文庫NV)

『わたしたちが光の速さで進めないなら』キム・チョヨプ

図書館から借りて来て、読み終わらずに返すを二回ぐらい繰り返した。そんなことしてしまったけど、大好きなSF短編集。急いで読み進めるのがもったいなくて少しずつ読んだ。SFの塩梅がすごくちょうどいい。読んでる間ずっと面白い。世界観が少しずつ明らかになっていく過程が楽しい。全部ちょっと切ない。

 

ナチスに抗った教育者──ライヒヴァインが願ったこと (岩波ブックレット 1098)

『ナチスに抗った教育者 ライヒヴァインが願ったこと』對馬達雄

最後はボロボロ泣きながら読んだ。ライヒヴァイン先生が殺されないといけない世界ってなんなんだ……。先生の教え子たちのほとんどがソ連の侵攻で亡くなってしまったというのもとても辛い。ライヒヴァイン先生の教育は今読んでもとても先進的で、理想的だった。先生と教え子たちが第二次世界大戦を生き延びることができたら、ドイツにどんな影響があっただろう。

 

嫌いなら呼ぶなよ (河出文庫)

『嫌いなら呼ぶなよ』綿矢りさ

めっちゃくちゃ面白くって爆速で読んだ。Twitterが好きな人は大好きだと思う。(あえてXではなくTwitter)一番好きだったのは最初に収録されている「眼帯のミニーマウス」。「時すでにお寿司」がこんなに自然に出てくる小説ない。綿矢作品もっと読みたくなった。

 

蛇にピアス (集英社文庫)

『蛇にピアス』金原ひとみ

綿矢りさの次は金原ひとみだろ!!って読んだ。こんな話だったのか……知らなかった……。金原ひとみは近年のエッセイだけ読んだことがあるけど、もっとみずみずしくて痛々しい文章だった。

 

ミアキス・シンフォニー

『ミアキス・シンフォニー』加藤シゲアキ

fuzkueで一気読みした。4時間かかった。an・anの連載で半分以上読んでいたけど、最後まで読んでなかった。最終章で「えっ!?そういう展開になるの!?」って急にハンドル切ったみたいに物語のテイストが変わった印象。う~~~~んハンドル切らないで、そのまんま最後まで行って欲しかったかも……。加藤シゲアキ版『愛するということ』だと受け取った。

 

ののはな通信 (角川文庫)

『ののはな通信』三浦しをん

途中まで読んで積んでいたのを再開した。お風呂で毎日20ページぐらい読んだ。往復書簡形式で区切りがたくさんあるので、少しずつ読み進めるのにちょうどよかった。学生時代はちょっと我慢して読んだけど、後半は毎日読み進めるのが楽しみだった。ちょっと苦手だったはなのことも好きになった。コピーとなっている「一つの愛がその後の人生を導く」ってどういうことだろうと思っていたけど、まさしくその通りだった。読み終わって、「美しい物語を読んだ……」と満足感に浸った。三浦しをん、上手い……。(みんな知ってる)

 

イン・ザ・メガチャーチ (日本経済新聞出版)

『イン・ザ・メガチャーチ』朝井リョウ

す~~~~~っごい面白かった。分厚くて重いけど文章量がそんなに多くないので見た目ほど読むのに苦労しない。面白くってぐんぐん読ませるけど、「ちょ、ちょっと休憩させてくれ……」って気持ちにもなるので毎日少しずつ読んだ。推し活を仕掛ける中年男性・推し活にハマっていく女子大生・推し活をしていた30代女性の三者の視点で進むけれど、そのどれもに身に覚えがあるのでずっとボディーブローをくらっている。神視点で読んでいる読者はある意味一番「視野が広い」けど、それでも巧みに物語に誘導されていて、朝井リョウ見事だった。これ読んで「自分はまだマシ」と思っている自分も、メガチャーチの一員。全く人のこと言えない。読み終わったオタクと話したくなる。

 

スミルノ博士の日記 (中公文庫)

『スミルノ博士の日記』サミュエル・アウグスト・ドゥーセ

100年以上前のミステリ小説。う~~~~~~~~~~んやっぱり洋書の邦訳は苦手だ……。我慢しながら読んだけど、我慢しながら読んだせいでちゃんと読書を楽しめなかった感。合わなかった。

 

アーモンド

『アーモンド』ソン・ウォンビン

本屋大賞の翻訳部門を受賞したらしい韓国のベストセラー。韓国文学の文庫ってなかなか出ていないので、これは貴重な文庫として電車の中で読んだ。A.B.C-Zのとっつー主演で舞台化もされている。確かにこれはメディアミックスするなら舞台が一番いいと思う。淡々とした語りの中にはっとさせられる風景描写が何度もあった。感情と感受性は別なのかもしれない。いじめや暴力も描かれるけど、「いいものを読んだ~~」と思うような清々しい読後感だった。

 

n番部屋を燃やし尽くせ デジタル性犯罪を追跡した「わたしたち」の記録

『n番部屋を燃やし尽くせ』追跡団火花

前から読もう読もうと思ってた本を図書館で借りてきた。

2020年3月、韓国社会を震撼させたデジタル性犯罪「n番部屋事件」。
その実態を暴いたのは、2人の大学生の潜入取材だった――
   チャットアプリ「テレグラム」内に存在するチャットルーム「n番部屋」。そこではガッガッを名乗る人物により脅迫された未成年者の性的搾取物(写真・動画)が流通していた。盗撮データ、知人凌辱、ディープフェイクなど、デジタル性犯罪の温床となっていたテレグラム。数万人以上が傍観を決め込むその卑劣な性的搾取から被害者たちを救うべく、記 者志望のプルとタンは「追跡団火花」として立ち上がった――。
   「n番部屋」追跡の9カ月、そして事件前後の2人のライフストリーやデジタル性犯罪の実態を記した、「わたしたち」の連帯のための記録。

公式サイトからのあらすじの引用。ノンフィクション。あらすじで書いてあることは事件のごくごく一部。日本でも教員が女子児童を盗撮して画像を共有するSNSグループが摘発されたけど、あれがもっと悪質になり大規模になったような事件。グループの参加者だけでも1,000人以上いて、やっていることもここで書くのも憚られるほど……。読みながら、これって韓国では調査団火花が摘発して逮捕者が出たから実態が明らかになったけど、日本でも同じようなことが行われていて、捕まっていないだけなのでは???ってすごく怖くなった。被害者が警察に行っても「テレグラムの犯罪は逮捕できない」と言って帰されたり、司法が加害者を守ったり、調査団のお父さんですら「被害者にも落ち度があったんじゃないか?」と言ったり……。逮捕されても刑がすごく軽く見えるし、そうやって性犯罪を軽視する社会だからn番部屋は生まれたし、そこで逮捕者が出ても懲りずに形を変えて同じようなことが続いていくんだ……って暗い気持ちになる。調査団火花と、二人を励ましながら並走した警察官が希望。広く読めるように工夫されてる本だと思うので、調査団火花を応援するつもりで読んでみて欲しい。一日で一気読みした。