インプレゾンビに話しかけて、サウジアラビア人と友達になった話


8月15日の朝、大阪で大規模な停電が起きていることを知った。驚いてトレンドを見たら、インプレゾンビの連投でまるで機能していなかった。よくあることではあるけど、私はこの日無性に腹が立ったので「せや!あのインプレゾンビに働きかけてる人みたいに、やめてくれって直接言ってみよう!」と思った。特に連投していた二つのアカウント(どちらもプロフ欄にサウジアラビアと書いてある)に、以下のような文章をアラビア語に翻訳して送った。

「日本の大きな都市で停電が起きました。人々は混乱して情報を求めています。妨げとなる行為はやめてください。」

しばらく経ってから、両方のアカウントから「わかりました」と返事があって止まった。驚いた。でもそのうち一つのアカウントはすぐに別の内容(地震だったかな?忘れた)で投稿を再開したので、もう一度やめるように伝えたらブロックされた。インプレゾンビからブロックされるとは!こっちがブロックするならまだしも!!

ブロックされなかったもう一つのアカウントは、ヒジャブを着用した女性の写真をアイコンにしていた。そっちのアカウントとはもう少しコミュニケーションが取れて、「500万インプレッションを達成するために協力して欲しい」と言われた。そんなの無理だけど、「協力する。あなたと友達になりたい。災害のハッシュタグを使うのではなく日本語で自分のご飯の写真を投稿して欲しい」と頼んだ。(日本人はサウジアラビアの料理が見たいとか、そういう理由も添えた)やってくれそうだったので、半日ぐらい楽しみに待っていたけど、次の投稿はまたインプレ稼ぎのコピペだった。がっかりして、「あなたがご飯を載せてくれるのを楽しみにしていたのに残念です」と伝えてフォローを外した。

一週間ぐらい経って、あの女性アイコンからもう一度リプライが来た。ここから先はそのアカウントのことを「友達」と呼ぶ。以前のやり取りは私がアラビア語翻訳を行ってアラビア語でやっていたけど、今回は友達から日本語で話しかけてきた。
「友よ。プライベートで話がしたいのでフォローしてくれますか?」
DMのことだった。フォローを返した。DMで、「弟のアカウントの再生回数(インプレッション数)が1,000万回を超えることが私の夢です。協力してくれますか?」と言われた。何のことかわからないし1,000万回とか到底無理だけど、友達なので協力することにした。影響力の大きいハッシュタグを聞かれたので「#XFoodFestival」を教えて、サウジアラビアのご飯を投稿するように再度頼んだ。しばらく経ってから、弟のアカウントの方で投稿した。拡散を協力して欲しいと言われた。私がやった引用リツイートは、フォロワーさんなら見てくれたかな? フォロワーさんの協力のお陰で、最終的に結構伸びていたけど何故か投稿は半日後に削除されていた。 よくわからないまま、「やっぱそう上手くいかないか~~~」と思った。弟のアカウントも友達のアカウントもフォローを外した。友達のアカウントは、相変わらず弟のアカウントを引用しながらインプレゾンビ的な行為を続けていた。

それからまた一週間ぐらい経った今日、友達からまたDMが届いた。
「友よ。元気ですか?」
「元気です。日本は台風が近づいているので準備しています」
「台風はいつ来る? 情報を集めたいのでハッシュタグを教えて欲しい」
正直、またか~と思ったし、ここで台風10号のハッシュタグを教えたらインプレゾンビに加担してしまうと思った。教えられない。
「日本の台風に興味がありますか?」
「台風の情報を集めて日本語で発信したい。支援したい。●●のアカウント(弟の?よくわからない)のブルーバッジ化をした。反映に時間がかかっている」(※後半は日本語訳が上手くいってないようで、多分こういうことだろうという私の意訳)
「あなたの気持ちは嬉しい。ありがとう」
正直、インプレゾンビをする言い訳のようなものだと思っていた。でもここで急に様子が変わった。日本語ではなくアラビア語で続いた。

「支援したかったのに日本人は私を侮辱した」

スクリーンショットが送られてきた。日本語名のアカウントが、イスラム圏のインプレゾンビ向けに作られたであろう、豚を描いたアラーを侮辱するイラストをリプライに貼っていた。
「酷い行いだ。あなたの支援したいという気持ちは嬉しい。ありがとう。酷いことを言った日本人のことは謝る。日本人は災害情報にとても敏感だ。あなたのことを、災害を利用してお金を稼ぎたいアカウントだと勘違いしてしまった」
「あなたにそんなことを言われると思わなかった。悲しい。泣いています。あなたは本当に私がお金を稼ぎたいアカウントだと思っているのか?」
アラビア語で連投され、本当に怒っていることも伝わる。
「あなたのやりたいことがわからない。(最初の、1,000万回再生がどうのというDMを引用して)1,000万回再生を望んでいるのはどうして?あなたのことを知りたい」
「私は、一日でいいから私の弟のアカウントが世界一有名になって欲しかった。でもその夢はもう叶わない。あなたは現実を教えてくれた。泣いています。このアカウントは友人へ譲る。私はもう消えます」
弟のアカウントで投稿してくれた、サウジアラビアご飯のツイートのスクショを送った。
「あなたが見せてくれたサウジアラビアのご飯、とても嬉しかった。ありがとう。私の友人たちもとても喜んだ。どうして消してしまったの?」
「それは私の弟のアカウントです」
「(弟のアカウントって、設定じゃなくて本当だったのか……)あなたの弟、ありがとう。あなたと弟の幸せを願います」
「ありがとう」
「泣かないで友よ」
「ありがとう」

 

結論 
・全てインプレッション数の収益化が悪い。
・たとえ相手がインプレゾンビアカウントでも、他の文化を侮辱する行為は絶対にやめろ。
・インプレゾンビはbotでもゾンビでもない。

 

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おわり