歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第三部『狐花 葉不見冥府路行(きつねばな はもみずにあのよのみちゆき)』
京極夏彦先生が原作小説を書き下ろした、新作歌舞伎「狐花」を見た。最初に言っておく!ちょーーーー良かった!!!!!
元々八月納涼歌舞伎は比較的ライト層向けというか、意識して「歌舞伎を初めて見る人」向けにとっつきやすく面白い作品を毎年上演しているイメージがある。今はもう絶対に無理だけど、東海道中膝栗毛とかすごく面白かった。だから狐花の一報が出たときに「面白そう!絶対行きたい!!」と思った。正解だった~!
あらすじ
時は江戸。作事奉行・上月監物(こうづきけんもつ)の屋敷の奥女中・お葉は、たびたび現れる男に畏れ慄き、死病に憑かれたように伏せっていました。彼岸花を深紅に染め付けた着物を纏い、身も凍るほど美しい顔のその男・萩之介は、“この世に居るはずのない男”でした――。この騒動を知った監物は、自らの過去の悪事と何か関わりがあるのではと警戒します。いくつもの謎をはらむ幽霊事件を解き明かすべく、“憑き物落とし”を行う武蔵晴明神社の宮守・中禪寺洲齋(ちゅうぜんじじゅうさい)が監物の屋敷に招かれます。謎に秘された哀しき真実とは…。
もうさ、あらすじ読んだだけで配役を知らなくても「萩之介は中村七之助だな」ってわかるよね。「身も凍るほど美しい男」を圧倒的説得力を持って演じる役者最高。 萩之介としての登場シーンめちゃくちゃ良かった!!
狐花はミステリーなので内容のネタバレはしないけど、あんなに分厚い小説を3時間で完結した舞台にしているのがまず凄い。歌舞伎って物語のごく一部だけを上演したりするから、そういう手法で行くのかな?って見る前は思ってた。台詞は聞き取りやすいように現代的なイントネーションになってる。何が何だかわからなくてイヤホンガイド頼りなときもあるけど、多分狐花は無くてもいけると思う。私は結局イヤホンガイド付きで見たし、話を整理してくれるのがミステリを見るうえで助かったけど、無い方が没入感はあるかも。
狐花の満足度がめちゃくちゃ高かったのは、ストーリーが面白かったことはもちろん、演出が!!最高だった!!!末満さんが歌舞伎を演出したらこんな感じだろうか……と思った。(これ以上伝わる表現方法がわからない)はあ……序幕のラストと二幕のラストを繭期の人に見て欲しい……。見終わったら一緒に「さいっこーーー!!」って拳を突き上げて欲しい。隣で母が寝てる気配を感じながら、「今この空間でこの舞台が一番刺さってるの私では」と思っていた。いやーめっちゃよかった。京極先生ファンの皆さんも満足してくれたかな?なんかでっかいアクスタ持ってた人とかいたけど、満足してくれてるといいな。あーー楽しかった!