CDアルバムと音楽体験-NEWS 12th「音楽」

 

 

自分の原体験というか、妙に覚えている古い記憶のひとつに「CDアルバムを買いに行った」という出来事がある。中学二年生の時、当時から大好きだったバンドのアルバムを、初めてCDショップで予約した。その頃の自分はまだ「フラゲ日」がどういうことか理解していなかったので、「どうやら発売前日から買えるらしい」とフラゲ日の朝イチに店へ行った。当然ながら入荷前で、カウンターで「夕方まで入荷しません」と言われたので夕方まで待った。一分一秒も早く、まだ聴いたことのない曲を聴きたかったあの日の自分。NEWSの「音楽」は、この記憶を思い出させるアルバムだった。

 


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ここに貼った動画を見てもらえたらわかる通り、このアルバムは朗読から始まる。「耳で音を食べる星」と、星に「食べたことのない音楽」を教える青年の物語。収録された15曲を互いに結ぶように物語は展開していく。一枚のアルバムの中に美しい流れがあり、一つの物語があるところがすごく好きだ。「CDアルバム」というパッケージに対する強いこだわりを感じる。だって、このやり方は絶望的なほど「サブスク」に合わない。

私は「サブスク」型音楽配信サービスを利用していない。でも、配信をしているアーティストの方が配信サービスの利点として「アルバム曲、カップリング曲を含めて全ての曲がフラットに並んでいること」を挙げていたことがあった。それは表題曲の陰に埋もれがちなカップリング曲などが改めて日の目を見る、という点でとても理にかなっていると思った。

でも、「聴き始めと聴き終わり」があり、順番通りに聞くことを前提としたアルバムはどうだろう。前後があることで曲が意味を持ち、物語を得るようなアルバムは「ランダム再生」や「アルゴリズム」で順番を崩され、曲を抜き出されると途端に意味がなくなる。まるで職人みたいな頑固さだ。でも、そういうところがすごく良い。

 


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「CDを買って聴く」って、今の時代だとまあまあハードルが高い。でも、それだけの価値が「音楽」にあると自分は思う。「NEWSが好きだから」というのが大前提にある上で、このアルバムがすごく好きだ。アルバムに向けて制作された楽曲の新鮮さはもちろんのこと、シングルとして先に発売されていた曲もアルバムの中で聴くと全然ちがう。「順番に再生」を何度も押して、通して聴いたときの流れの美しさ、心地よさを味わっている。

それにしても、いくらタイトルが「音楽」とはいえ、ここまでストレートに「音楽が好きだ」という気持ちが直接届くとは思わなかった。NEWSはもちろん、NEWSと一緒に音楽を作っている人たちは本当に心底音楽が好きで、「CD」「アルバム」を作ることも好きで、なんとかしてどうにかして良いものを、「最高のもの」を手に取る人たちに届けたいと思っている。そういう風に伝わった。

 

NEWSをよく知らない人に「このアルバムを聴いて欲しい」と言ってもなかなか実現しないことはわかっている。ただ、NEWSを好きでいると、こんなに素敵な一枚に出会うことができる。そのことが嬉しくて、胸を張って自慢したい。素晴らしい「音楽体験」をありがとう!NEWSの音楽がだいすきです。

 

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