部屋探し奮闘記

 

 

一月某日、私は占いの館にいた。

「実家を出て一人暮らししたいので、良い時期と方角を教えてください」

占い師のサイコロは答えた。私が向かうべき方角を示し、時期は一月か二月と。こうして私の部屋探しは急に本格化していった。

 

 

ステップ0 エリア選定

いくつか候補となる駅を選定して現地視察。人におすすめしてもらった駅、自分が行ったことのある駅、SUUMOタウンで紹介されていた駅など。実際足を運んでみて、駅周辺の雰囲気が合わなかったり、通勤経路が混んでいたり、ちょっとこれは無理だな~…と感じたところは外して三駅ぐらいを候補にし、「あとは不動産屋に提案してもらおう」と思っていた。

 

ステップ1 部屋の条件を決める

エリア選定とほぼ同時並行で条件を考えていく。「どんな生活をしたいか?」は場所と部屋両方に影響するので、常に自己分析…己との対話…イメトレ…という感じだった。そうしてできあがった絶対条件が以下の通り。

・友達と通話する声が近所迷惑にならないように、音に強い物件に住みたい

→鉄筋(RC造)

・ちゃんと自炊したい

→キッチン重視。調理スペースを確保できる。シンクでフライパンが洗える*1

 

この他にも独立洗面台、二階以上、駅から徒歩15分(できれば10分)以内…と譲れない条件と譲れる条件を書き出していった後、実際に物件を紹介してもらうために不動産屋へ足を運ぶことに。ここからが真の戦いだった。

 

ステップ3 初めての不動産屋

 

不動産屋A

友人から紹介のあった賃貸専門チェーン。元気な若い営業マン

・HPの「物件リクエスト」フォームに条件を入力して送信すると、コールセンターから連絡があり来店を促される。

・いざ来店すると口頭で条件を全部説明させられる。(フォームに入力した意味は?)

・二月下旬入居で…と伝えた途端「それだとまだ物件探しは早すぎる」と言われ、来店した意味を早々に失う。

・希望エリアでは条件に合う物件がないので、条件に合わない物件をじゃんじゃか印刷して見せられる。

・印刷された物件を一つ一つ見ながら、「これは北向きなんで…」「これは独立洗面じゃないので…」と自分で間違い探しをして弾かないといけない。

・最終的に「条件に合う物件」に住みたいなら埼玉が良いと勧められる。

・社用携帯でLINE交換を求められる(断る)

・「絶対連絡くださいね!!!!埼玉でも神奈川でも行きますから!!!」と念押しされて帰宅。

 

 

ステップ3.5 エリアの見直し

不動産屋Aで「第一希望のエリアに条件に合う物件は無い」と言われたこと、不動産屋からの提案があまり当てにならないことから希望エリアの見直しに。占いで言われた方角もここで調べ直し、下見をし、最終的な希望エリア(路線上で連続している三駅)を決定。この中のどこかで良い物件があれば…と祈りながらSUUMOに貼りつく日々へ。

 

ステップ4 SUUMOで物件探し

「不動産屋で物件を出してもらう」が失敗だったので自分で探そうと意気込んでSUUMOに貼りつく。譲れない条件を満たす物件を全部チェックして、気になったらマンション口コミサイトを見て、決定的なNGがない部屋はとりあえずどんどんSUUMOから空室照会をした。(空いてないと候補にしてても仕方ないので)

不動産屋の選定も兼ねているので、取り扱い不動産屋全部に一気に照会。それが地獄の始まりでもあった…。

 

ステップ5 不動産屋ガチャ

SUUMOを通じてやり取りした不動産屋は10社弱。マジでこの世には不動産屋が多すぎる。とりあえず「空室照会」に対して、回答メールに肝心な空室状況を書いてないところは全部切った(めちゃくちゃあるある)(とにかく来店させようとする)。残ったところに更に質問しても、返事が来るまで丸一日以上かかることはザラ(写真と間取りが違うと質問したら「参考写真です」と返ってくるまで二日かかる)(写真と間取りが違ったら参考にならないんだが???) 不動産屋ガチャ、果てしない。

 

ステップ6 助っ人登場

不動産屋ガチャとSUUMOノイローゼの苦しみをツイートしていたところ、「手伝うよ」と名乗り出てくれた友人がいた。10年来の友人だったけど、なんと、彼女は不動産にめちゃくちゃ詳しかった。SUUMOで同じ物件を見ても、記載内容と写真から読み取れる情報量が格段に違う。マジですごい…。何から何までサポートしてくれて、彼女無くして部屋探しはできなかった。感謝してもしきれない、ありがとう!!

 

ステップ7 内見したい

SUUMOで隅から隅まで見て、本命物件を一つ決めた。ここを見に行って、住みたいと思えたらここにしよう。「できれば本命前に何か所か内見して目を肥えさせた方がいい」という助言を元に本命以外に内見したい物件を二つ選び、それぞれ内見の手配を始めた。(午前と午後で違う不動産屋に内見を頼み、それぞれに二件ずつ見させてもらうつもりで進めていた)

 

ステップ8 クソ不動産屋

次点として内見したい物件は、SUUMOから問い合わせできる不動産屋が少なかった。(この時点でもっと取り扱い不動産屋のことを調べておけばよかった)「内見さえできればどこの不動産屋でも同じだろう」と内見希望の問い合わせをし、来店予約をし、実際に行った不動産屋がマジの本物のクソだった。潰れろ。その一部始終が以下のとおり。

・入店してまず条件をヒヤリングされる(メールで条件を送っておいた意味は?)

・「引っ越し理由は?」「実家を出たいからです」「実家を出たい理由は?」そこまで答える義理は無い

・「問い合わせた物件の内見をしたいんですけど…」「条件をお伺いして、他の部屋もご提案した上で内見先を決めましょう」

・その場で調べ始めて、他の部屋を提案される

・提案された部屋について「他の部屋との位置関係を知りたいので、フロア図面とかあれば見たいんですけど…」と聞くと「SUUMOに載ってる以上のことはわからない」と言われる

・なので一緒にSUUMOを見る(何の時間????)

・いくつか候補を出されるが、まだ入居中で内見できない物件ばかりなため「とりあえず日曜日に、先にメールで伝えていた物件を内見したい」と伝える→「日曜日はスタッフが全員出払っているので内見できない」(今週日曜に内見希望と最初の問い合わせ時から伝えてあったが????)

・徒労で終わり。帰宅してからGoogleMapで口コミを見たところ☆1がたくさん付いていて、レビューに「おとり物件のクソ不動産屋」と書いてあり全てを察する。Roomlandを許すな。

 

ステップ9 当たり不動産屋

クソ不動産屋の愚痴をツイッターに書き散らしていたところ、複数のフォロワーから「女一人だと不動産屋に舐められる」との情報が寄せられた。内見には父親を威嚇用に連れて行こう…身長187cmあるし…と心に決め、別の不動産屋に引き続きコンタクトを取る。もう新規開拓が面倒なので、一番最初の不動産屋Aに内見希望と連絡を入れる。

不動産屋A「今日と明日休みなので、明後日(木曜日)に確認してご連絡します!」

 

木曜日。15時になっても一向に連絡がこない。いつ頃になるか?と催促のメールを送っても音沙汰が無い。イライラがMAXになっていたところ、SUUMOで空室照会して以降毎日電話を寄こしてくる別の大手不動産屋から着信が入った。「もうお前でいいや」精神で初めて折り返し、コールセンターで内見希望物件と日程を伝える。すぐに担当となった営業からメールが入り、内見日程が決まった。

 

この不動産屋を「当たり」だと感じた理由

・担当営業のレスポンスが他社と比べて早い。夜問い合わせると翌日午前中に返事が来る。質問にもちゃんと答える。

・午前中に送ったメールの返事が夕方になると、「遅くなり申し訳ありません」の一言がある。

・「希望条件の詳細はご入力いただいたアンケートで確認して、ご来店前に調べておきますね」と言われる

こんな当たり前のこと???と思うかもしれないけど、これができない不動産屋しか!!!無かった!!!!

ちなみに、クソ不動産屋で「日曜日はスタッフ出払ってて一緒に行けないので、ご自身で勝手に見てきてください」と言われた物件は、当たり不動産屋で確認してもらったところ、既に申し込みが入っていた。(※クソ不動産屋に行った翌日)

クソ不動産屋のクソさもここで確認できた。

 

 

ステップ10 内見当日

ついにここまで来た……。長かった……。当たりの不動産屋は朝10時(営業開始時間)に予約してあり、午前中は他に良さそうな物件があれば紹介してもらって、午後に内見というスケジュールでお願いしてある。とはいえ本命物件が問題なければ、そこで!!決めたい!!!!

朝9時、出発前に担当者からメール受信。本命物件は昨日申し込みが入ってしまった とのこと。

 

終わった。

 

ここまで来たのに……ここまで来たのに……………………。本命物件は、色々妥協もしたけど総合的に「ここなら」と思えた。あれ以上の部屋は望み薄だし、これ以上妥協して他の部屋に決めるのか……? わざわざ実家を出て高い家賃を払って……?

もう疲れた。今日決まらなかったら一旦全てを白紙に戻して、引っ越しは秋ぐらいにしよう……。助っ人の友人と駅で合流し、不動産屋へ出向く。担当の営業マンにすぐに席に案内され、お茶を出され、今日内見予定だった物件が残念でしたね……と切り出される。

「駅からの距離って、10分以内がご希望でしたけどそれ以上でも大丈夫ですか?」

「まあ部屋と環境にもよりますね……(しおしお)」

「こちらのお部屋なんですけど……」(物件詳細を一枚手渡す)

 

その物件は候補としていた三駅のうちの一つが最寄りで、「騙されてない????」と驚愕するぐらい何もかもがありえないぐらいに完璧だった。友達と二人で一生懸命粗を探しても、あれもこれも全てが備わっていて何一つ欠点が見つからない。絶対条件はもちろん、「あったらいいな」と思っていた条件も揃っていて、その上で予算内に収まっている。入居中なので内見できないと言うが、内見するまでもない。見せてもらう写真と映像だけで、これまでSUUMOを徘徊して何十件と見てきた全ての部屋よりワンランク、ツーランク上だった。

「SUUMOでも閲覧件数がこれだけ飛びぬけていて、他社を通じて問い合わせも殺到してるんですよ」

そりゃそうだよ、こんな部屋誰だって住みたいよ!!!!? いやいや待て待て内見しに来たのに、初めての部屋探しなのに一件も見ないでここでもう決めて良いのか?まだ10時半だけど? 本当に良いのか?騙されてない??本当に????? 「この部屋に申し込みたいです」 決まった。

 

 

 

こうして私の部屋探しは終わった。

 

 

よかったこと

・候補にしていた地域をよく調べてあったので、知らない物件を急に出されても「あの辺りか」と想像がついてすぐに決断できた。

・候補地域の物件をSUUMOでたくさん見ていたので、「自分の予算だとこれぐらいの部屋」「予算+5,000円だとこれぐらいの部屋」と相場感がかなりわかっていた。駅近に住みたかったら部屋のランクを下げるか、家賃を+10,000円ぐらい覚悟しないといけなかった(ので諦めていた)。

 

ラッキーだったこと

・不動産屋を朝10時に予約していたこと。前日夜に担当の人が調べておいてくれた物件を、朝すぐに決めることができた。これが12時の予約だったらあの部屋はもう無かったかもしれない…。

・神物件が、私が行った不動産屋の自社管理物件だったこと。

賃貸管理の大手だったので、「大手なら管理物件も多いから、まだSUUMOに載る前だけど退去が決まってる部屋とか教えてくれたりするよ~」という話を友人から事前に聞いていた。今回出された神物件はもうSUUMOに載っていたけど、他の人たちがSUUMOを見て(私が以前やっていたような)空室照会、他社を通じた問い合わせをしている間に、私はカウンターで部屋の説明を受けていた。私が「申し込みます」と言えば部屋を確保してもらえる状況だった。それだけで家でSUUMOを見ている人よりも遥かに有利だった。

 

 

 

以上が私の部屋探し奮闘記でした。顛末が顛末なので、部屋探しのアドバイスを求められても私が決まった不動産屋を教えることしかできないですが、今現在お部屋探し中の方が良い不動産屋と良いお部屋に出会えますように。

私は最高の部屋で新生活始めます!!みんな!!遊びにきてね!!!!!!!!

 

 

おしまい

 

 

*1:都内のワンルームのキッチンは想像を絶するほど狭い