秩父宮の涙は遠く

 

4人のNEWSのファンになりたてだった2013年当時、NEWSの「4人」での映像作品は「NEWS LIVE TOUR 2012~美しい恋にするよ~」しかなかった。ファンには周知の事実だが、このライブはNEWSが4人になって初めてのライブで、当時は「最強の布教用DVD」と呼ばれる伝説の映像だった。秩父宮ラグビー場で青空の元に始まるライブは美しく、楽しく、時に涙を流しながら歌うメンバーの姿はとてもドラマチックにも見えた。このライブ映像でファンになったという方はとても多いと思う。私だってそうだ。彼ら4人を「応援したい」と思わせるに十分な説得力と魅力のあるライブだった。

 

NEWSが3人になる直前、私はこの「美しい恋にするよ」をまた見ていた。今になって見ると映像の中の4人は記憶よりも弱弱しく、風が吹いたら飛ばされそうだから4人で身を寄せ合っているように見えた。だから数日後、NEWSが3人になったというお知らせが来た時、NEWSが4人で歩んできた道が振り出しに戻ってしまったらどうしよう、と思った。4人になって「いちごのないショートケーキ」と心ない人に書き込まれたことに傷ついて、何年もかけてそれを乗り越えたのに。てごちゃんの脱退を伝える3人の表情に不安を感じ、この先どんな気持ちで応援していったら良いのかわからなくなった。

 

でも、NEWSを守った3人は私が思っていた以上にとても強く、逞しかった。案の定「いちごのないショートケーキ」的なものを考えてやろうと大喜利されていたが、そんなことでまんまと傷つくような人たちではなくなっていた。3人で初めての地上波出演はMステのWAになって踊ろうで、企画もあり湿っぽさは一つもなかった。ラジオ等の各レギュラー番組でのコメントも、前を向いて堂々としている。極めつけは6月28日に配信されたFC会員向け動画で、3人が全て考えたというゆる~い企画を1時間以上も配信した。新型コロナウイルスの影響で中止となったツアーは「いつかのため」に取っておくことにし、秋には何らかのイベントをやりたいと準備を進めていることもここで明かされた。内容盛りだくさんだけど3人からは「焦り」とか「不安」は感じられず、言葉の通り「今3人にできること」に地道に取り組んで進めているのだと思った。たくましくて頼り甲斐があって、いつの間にこんなに成熟したグループになっていたんだろう?なんて自分の目の節穴さを知った。とはいっても、最初のあの動画の表情は忘れたくないけれど。

 

3人がNEWSを諦めていない以上、この先の未来には希望しかない。良いのか悪いのかわからないが元々NEWSは個人仕事が多いグループで、3人ともそれらに影響は受けていない。一番危惧していたテゴマスのらじおも、ますますらじおと改名して続くことになった。歌については、3人になったから歌えない・歌わない曲があるのかは今の時点ではわからない。でも意外といけるんじゃないか?と個人的には思うし、3人の魅力を最大限に引き出す選択をしたときにこれまでと選曲が変わるのもそれはそれで当然だと思う。個人的には、6人以前の曲を今まで以上にどんどんやって欲しい。まだまだライブで聴いたことのない曲がたくさんあって、それらも含めてNEWSの大切な財産なのだから出し惜しみしないで欲しい。Say Hello 2020とかどうかな?やるまでずっと言い続けます。NEWSのセルフプロデュースへの信頼感は絶対だから、本当に何をやっても大丈夫な気しかしないのだ。

 


近い将来、「NEWSが3人で初めてやるライブ」が開催される日が来る。でも、その日はきっと「美しい恋にするよ」の再来にはならない。3人で描く未来はまだ想像もできないぐらいまっさらで広くて、どことも似つかぬ景色が私たちを待っている。