RIJ2019 - aurora ark ひたちなか公演

 

夕暮れのGRASS STAGE、トリの一つ前だったあいみょんが終わると周囲の空気が少し変わった。この後GRASS STAGEは非常に混雑するという旨のアナウンスが繰り返し流れる。そしてその言葉通り、敢えて選んだスタンディングエリアの最後方までいっぱいになるほど大勢の人が集まっていた。道理で東京ドームも全然当たらないわけだなぁ。6万人規模のGRASSが満員になるのを目の当たりにして、改めてその動員力に舌を巻く。夜が近づいた分ひたちなかの風は涼しく、夕焼けは雲の向こうに隠れていた。いわゆるマジックアワーの野外ステージでBUMP OF CHICKENを聴く。今になって思えば、それは10年前からの夢だった。

 

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ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019
18:05~GRASS STAGE

BUMP OF CHICKENセットリスト
00.aurora arc
01.Aurora
02.虹を待つ人
03.天体観測
04.月虹
05.車輪の唄
06.記念写真
07.話がしたいよ
08.リボン
09.望遠のマーチ
10.ray
11.新世界
12.流れ星の正体
enc1.カルマ
enc2.ガラスのブルース


新アルバムaurora arcを引っ提げたツアー中のBUMPは、ロッキンの演出とセットリストもツアーから引っ張ってきているようだった。まだ自分はツアーに入っていないので詳細はわからないが、開始の18:05を迎えて全てのビジョンにオーロラの映像が流れ始めた時、あまりの美しさに見惚れた。overtureのaurura arcに乗せてオーロラが波打ち、最後にツアーロゴが真ん中のビジョンに映し出される。aurora arkひたちなか公演の始まりだった。
アルバム収録曲を中心にセットリストは進んだが、その全てが私にとっては「聴きたかった曲」だった。去年のさいたまスーパーアリーナに行ったときは半分が「知らない曲」だったが、そこから10年のブランクを埋めるべく聴き込んだので全ての曲を知っていた。特に聴きたかったのはアルバムで一番気に入った「月虹」と野外で聴くことに憧れていた「ray」で、この二つが来た時はわっと気持ちが昂った。「新世界」では明るい曲調と映像に合わせて藤くんがぴょこぴょこ移動しながらハンドマイクで歌うので、藤原基央(40)の世界ってとんでもないな…と愕然とした。そして野外の醍醐味と言えば天候が演出の一部となることだが、『嵐の中をここまで来たんだ』と繰り返す「リボン」の間は今にも降り出しそうなほど不穏な雲行きだったのが、次の「望遠のマーチ」では雲が流され夜空が見えていたことには驚いた。一番響いたのは本編最後の「流れ星の正体」で、潮の混じった風の匂いとともに忘れられない記憶になった。
BUMPの楽曲は全て素晴らしかったが、ロッキンの思い出をより一層大切で特別なものにしたのが藤くんの言葉だった。アンコール後も一人ステージに残った藤くんは、集まった6万人の一人一人へ向けて語りかけた。これだけ大勢の人が集まるおかげでROCK IN JAPANというフェスは20年続いたが、『大勢の人』というのは一人一人が集まったおかげでそうなるということ。今日ステージに立った全てのアーティストへ向けた拍手を求め、ロッキンへ足を運んだ自分自身にも拍手して欲しいと頼んだ。そしてこのステージがあるのもみんなのお陰だと言ってROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019の文字を見上げ、「2019年か。すごいなぁ。30年も40年も続くといいなぁ」と独り言のように呟いた。私自身10年ぶり2度目のロッキンだったので、この「2019年かぁ」に大きな感情が押し寄せた。本当に、まさか2019年にモーニング娘。とBUMPを目当てにまたロッキンに来るなんて。「今日一日楽しかっただろう?」という藤くんの言葉で泣いてしまうほど、朝から晩まで全てが楽しかった。

タイムテーブルが発表されたとき、GRASSのトップバッターがモーニング娘。、トリがBUMPと知って「絶対に行かなきゃ」と思ったこと。交通手段や持ち物、美味しいごはんを経験者に聞いたり調べまくったこと。毎日天気予報をチェックしていたら、雨予報が次第に晴れになったこと。準備した雨具が無駄になったこと。前日から水戸入りして、早朝から開場を待ったこと。MYスプーンを持参した念願のまるごとメロンクリームソーダ。最高で最強だったモーニング娘。'19。足首を日差しに焼かれながら聴いたリトグリ、友達のテントでゴロゴロしながら聴いたユニゾン。10年前は会えなかった、念願のBUMP。日常から少し足を延ばしただけで、こんなに素晴らしい場所があった。本当に本当に来て良かった。人生で最高の一日になった。

 

 

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全てが終わって東京へ帰るバスの中、隣のおじさんがめちゃくちゃ汗臭くて辛かったが、「足を踏まれたとか友達と喧嘩したとか、悪いこともちょっとはあったかもしれないけど…」と予防線を張っていた藤くんのことを思い出すと笑えた。最後にちょっと嫌なこともあったけど、最高の一日に変わりはなかった。

 

 

 

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