ROCK IN JAPAN 2019でモーニング娘。'19と「見たことのない景色」を見た

 

 

頭上を覆っていた重たい雲が途切れ、晴れ間がのぞいた。直射日光が熱い。ハロプロではお馴染みの電子音の出囃子でモーニング娘。がステージへ登場する。歓声、「みかん」のイントロ。飛び跳ねてこぶしを突き上げて間もなく、ビジョンに映し出された景色に悲鳴を上げた。会場を埋め尽くした見渡す限りの観衆。夢に見た「GRASS STAGEの景色」があった。夢に見たGRASS STAGEの景色を、モーニング娘。と一緒に見ていた。

 

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発表されたタイムテーブルを何の気なしに開いて、GRASSの枠にモーニング娘。の名前を見つけた時の驚きは未だ鮮明に覚えている。昨年初出場で1万人規模のLAKEを入場規制にしたことは知っていた。しかし2年目でいきなり最大規模のGRASSを任されるとは、それほどに高く評価されていたとはまさか夢にも思わなかった。"いつか来て欲しかった未来"が僅か一年でやってきて、「行かなきゃ」という一心でチケットの最終先行に滑り込んだ。この「行かなきゃ」は申し込んだ当初は「GRASSに立つモーニング娘。を見なきゃ」だったが、"その日"が近づいて実感が湧くにつれ、次第に不安が生まれ始めた。特に不安が爆発したのはロッキン前半初日のゆずさんの映像を見た時で、同じ朝イチのGRASSでこんなに人が集まっているのかと、果たしてモーニング娘。はどうなるのかと一気に怖くなった。最大6万人入るGRASS STAGEは、裏を返せばそれなりに人がいないとガラガラに見える。「モーニング娘。に最高の景色を見せられる」と喜んでいたし彼女たちのパフォーマンスは6万人でも10万人でも魅了できる自信があったが、一体どれほどの人があの時間にモーニング娘。を選んでくれるのか、一体どれほどのファンが彼女たちのためにチケット代14,000円を払って真夏のひたちなかに駆けつけるのかわからなかった。この大きなステージに立った彼女たちに良い景色を見せたい。その気持ちが日に日に増していった。

 

そんな不安を抱えつつ夏の野外へ向けた準備を粛々と進めていたロッキンの二日前、待ちわびていた朗報が舞い込んできた。頸椎椎間板症で7月10日から休養していた小田さくらちゃんが、ROCK IN JAPANから復帰するというものだった。無理はさせられないと思っていたが、どうか間に合った欲しいとも願っていたのですごくすごく嬉しかった。さくらちゃんが居なくても娘。のパフォーマンスに不安は無かったが、ファンの一人として彼女にあのステージに立って欲しかった。結果として「ROCK IN JAPANで復帰」というドラマチックな展開になり、一つの心残りなく当日を迎えることができた。

 

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大事を取って前日から水戸入りした私たちは、車で来た友人に途中で拾ってもらい開門前から入場列に並んだ。どれぐらい娘。オタが来るかわからなかったので「私たち4人だけだったらどうしようね」なんて話していたが、明らかにフェス慣れした音楽好きの皆さんの中に混じってチラホラと我々と同じモーニング娘。のファンが居た。普段とは違う「仲間意識」があったので、一人また一人と見つける度に心強さが増した。早朝から来ていたみんな、本当に偉い。

 

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テントの森まで荷物を運び、グッズを買ってひと段落した後「ステージを見に行こう」とGRASSへ向かった。開演までまだ1時間半あるので人はまばらだったが、そのお陰でいかにGRASSがだだっ広いのかわかった。ステージの前には既に場所取りをしている人たちがいたが、GRASSの広さに対してその人数はとても少なく感じ、またしても「大丈夫かな」と不安になった。当たり前だが、モーニング娘。のファンだけではこの広さは埋められない。どれぐらいの人がこの時間にモーニング娘。を選んでくれるだろうか。そんな不安を抱えながら30分前に場所取りをして、何度か後方を振り返りながら10時半の開演を待った。まばらだったスタンディングゾーンも次第に人の壁が生まれ、後ろを向いても会場の様子がわからなくなった。そしてあと10分で始まるというところでロッキング・オン代表の渋谷さんがステージに現れた。そうだ。ここで始まる前に挨拶をされるんだった。GRASS STAGEとはそういう場所だった。マイクを手に渋谷さんは話し始める。ROCK IN JAPANという音楽フェスが20周年を迎えたこと、大量の仮設トイレの設置、ダイブの禁止など参加者の快適と安全を守るフェス運営を第一にやってきたこと。そして昨年のLAKE STAGEを盛り上げたモーニング娘。'18のこと。彼女たちが、「いつも通り」のパフォーマンスでロッキンを盛り上げたことへの賛辞。そして最後に、GRASSへ集まった私たちを鼓舞した。

「ここに集まっている皆は、この巨大なGRASS STAGEに立ったモーニング娘。なんとか勝たせたいという人たち、そして彼女たちの勝利を目撃したいという人たちだ。勝たせたいじゃないですか!!

渋谷さんの呼びかけに呼応して、ファンから声が上がり拳が突き上がる。そうだ、本当にその通りだ。私はモーニング娘。を勝たせたい。この大きくて広いGRASS STAGEから見た景色が絶景であって欲しい。ともに見たことのない景色を見たい。それが、「勝つ」ということだ。「不安に打ち勝つ」ということだ。勝ちたい!絶対に勝ちたい!!

 

 

 

 


 

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私たちが見た景色はこの世のものとは思えないほどの絶景で、あの時、私は「努力」が、それを嗤う全てのものに勝った瞬間を見た。