18の公式動画で振り返る、私が見つめてきたモーニング娘。の移り変わり

先日、「モーニング娘。を教えてください」というフォロワーさんに向けて超初心者向けモーニング娘。講座を開きました。持ってるDVDを掻い摘んで見せるつもりだったのに、フリータイムを使い切ってなんと6時間ぶっ通し。それでやっと私が見つめてきた5年感の一部を見せられたわけですが、「解説が無かったらきっとわからなかった」「もっと多くの人に布教出来ると思う」という有り難いお言葉をいただいたので、ちょっとブログでもその真似ごとをやってみようかなぁと思います。私が見つめて来た5年間に一体何があって「今」のモーニング娘。の姿になったのか。MVだけでは伝えきれませんが、なんとなく感じ取って興味を持ってもらえると嬉しいです。

 

 0.憧れの源「プラチナ期」


モーニング娘。 『リゾナント ブルー』 (MV)

モーニング娘。が一番テレビに出ていたころを「黄金期」と呼びますが、それに対抗するようにファンの間で「プラチナ期」と呼ばれる時代があります。それは高橋愛ちゃんがリーダーだった2008年前後のことで、この頃のモー娘。はメディア露出も極端に少なく、世間的に注目される存在ではありませんでした。ただ、その間にライブパフォーマンスを磨き続けた彼女たちの歌とダンスは今見ても圧巻のクオリティ。そして今のモーニング娘。の子たちは、この「プラチナ期」のパフォーマンスに憧れてモーニング娘。を志して来た子たちなのです。「ASAYAN」や「うたばん」を見て育っていない今のメンバーは、そもそもの目指すところが一昔前のモーニング娘。とは少し違います。

 

 

1. 2011年 9期の加入


モーニング娘。 『まじですかスカ!』 (MV)

9期が加入する直前、亀井絵里ジュンジュン・リンリンの3人が一気に卒業したことによって前述した「プラチナ期」は終焉を迎えました。スキルの高いお姉さん揃いだったモーニング娘。に加入したのは小6の鞘師と鈴木、中2の生田と中3の譜久村。譜久村はハロプロエッグ(ジャニーズで言うJr。デビューを目指しレッスンを受ける研修生制度)の出身ですがスキルの差は歴然。また、それまで久しくオーディションそのものが無かったためファンもメンバーも「新メンバー」をどう迎え入れたらいいのかわからず、戸惑いもありました。そんな環境で幼い彼女たちが辛くないわけありませんが、それでも4人は明るくフレッシュな風をモーニング娘。に吹き入れてくれました。

 

2.高橋愛の卒業


高橋愛 『自信持って 夢を持って 飛び立つから』 (MV)

リーダーであると同時に圧倒的エースだった高橋愛は2011年秋にモー娘。を卒業しました。モー娘。は「お互いがライバル」で「ギスギス」していて「上下関係の厳しい体育会系」なイメージがあるかもしれませんが、実は高橋愛は「アットホームなグループ」を目指し、今の「ライバルであり、チームである」モーニング娘。の土台を作りました。そんな彼女は後輩からもとても慕われ、リスペクトされ、今の9期からも高橋愛と過ごした1年の影響が色濃く感じられます。

 

3. 2012年 10期の加入


モーニング娘。『ピョコピョコ ウルトラ』 (MV)

高橋愛とほぼ入れ替わる形で、モー娘。に4人の10期メンバーが加入しました。元ラブベリーモデルの飯窪、ダンスが得意な石田、天真爛漫でど天然の佐藤とハロプロエッグ出身の工藤。更にフレッシュなメンバーが増え、すっかりグループの雰囲気も変わりました。しかし変わりゆくモー娘。に付いていけないファンもいたのか、このシングルの売上は歴代最下位。また、当時は対外的なプロモーションがほとんど無かったこともあり、私自身も先が見えない閉塞感を感じていた時期でもあります。ただ、この曲も「数学女子学園」というハロプロ総出のドラマの主題歌だったり、良い思い出ももちろんあるんですけどね。

 

4.光井愛佳新垣里沙の卒業と「変化の兆し」


モーニング娘。『恋愛ハンター』 (MV)

「今」に繋がるターニングポイントを挙げよと言われれば、私は「恋愛ハンター」だと答えます。

2012年春、光井愛佳新垣里沙モー娘。を卒業しました。当時歴代最長在籍記録を残した新垣は、高橋愛と一緒の卒業も視野に入れていましたが「10期を育てなきゃ」と高橋愛を見送ったあとの卒業を選びました。8期の光井は、足の怪我を理由に志半ばでの卒業となってしまいました。

この「恋愛ハンター」は二人の卒業シングルですが、このエレクトロなサウンドは久しぶりの「かっこいい」モーニング娘。で、音源が解禁された日から話題を掻っ攫いました。目まぐるしく立ち位置が変わるダンスも、今の「フォーメーションダンス」の原型と言えると思います。

また、それまでテレビ露出がほとんどなかったモー娘。にテレビのオファーが入り始めたのもこの頃でした。特にSMAPの中居くんの「ブラックバラエティ」はスタジオでこの「恋愛ハンター」を披露させてくれただけでなく、何週にもわたってゲストとして呼んでくれ、無名の9期・10期にスポットライトを当ててくれました。当時のお祭り騒ぎは忘れられません。

 

5.リーダー道重さゆみの誕生、そして「王道復権」へ


モーニング娘。 「One・Two・Three」 (Dance Shot Ver.)

モー娘。として記念すべき50枚目のシングルだったこの「One・Two・Three」は、まさに勝負の一枚でした。いつの時代のモー娘。とも違う新しい音作り、メンバーカラーの入った衣装。また、この曲の初披露が「ガールズアワード」というアウェイな、女子だけの空間だったことも「モー娘。を今まで届かなかった層へ届けたい」という強い意志が感じられました。更に駅に広告を貼りだしたり、CDの発売日にミニライブをやったり、種類を増やしたり、握手券を付けたり…。今となっては当たり前なプロモーションも、この時から始まりました。道重さゆみがグループの「顔」になったことで対外的に売り出しやすくなったこと、道重自身が「モー娘。を世に売り出すためなら何でもする」マインドの持ち主だったことなど、変化の要因として考えられることは多々ありますが、とにかく明確に「モー娘。を売り出そう」という気概を感じたのはここからでした。当初は「50枚目を記念したお祭りだろう」と思っていたファンにとって、ここから始まる事務所の「本気」は目を見張るものだったのです。

 

6.悲願の1位、そして新たな武器の会得へ


モーニング娘。 『Help me!!』 (Dance Shot Ver.)

2013年、11期の小田さくらが加入したモー娘。は「Help me!」で3年8か月ぶりのオリコン週間ランキング1位を獲得しました。高橋愛卒業の時も、50枚目の123の時も「取らせてあげたい」と願い、頑張ってきて後一歩及ばなかったオリコン1位。今となっては信じられないかもしれませんが、当時はプレス数も今ほど多くない上、売れない、売れ残っても返品できないという理由で「殆どのTSUTAYAでは取り扱ってない」と言われるほどでした。また、「オリコン2位になったのに、TVでは1位と3位だけが紹介された」という不遇を味わったこともあり、「1位じゃないと無視される」という危機感もまたファンを団結させました。タグを作って各店舗の在庫を共有したり、助け合って積み重ねて、皆で獲った1位だったと思います。

ところでこの「Help me!」は見たことがある方も多いのではないでしょうか。今のモー娘。を紹介する際、フォーメーションダンスの例として出されるのがこの「Help me!」です。ある意味、代表曲ともいえるかもしれません。

 

7. 2作連続1位、田中れいなの卒業


モーニング娘。 『ブレインストーミング』(Morning Musume。[Brainstorming]) (MV)

新垣里沙光井愛佳が卒業した1年後、田中れいなモー娘。を卒業しました。道重と同期で、長らくグループのエースでもあった田中。華やかで気が強そうに見える彼女ですが、実は後輩にもとても慕われていました。

田中れいなと佐藤優樹 - NAVER まとめ

道重と同じ6期メンバーである彼女は、「6期が一番上に立つ時代」を長らく心待ちにしていたのですが、その時代はわずか1年でした。でも、「さゆれな」の二人で後輩を育てていたこの時代が、私はとても好きです。この頃ならではのワクワク感が確かにありました。

 

8. 2013年8月 6年ぶりにMステに返り咲いた日


モーニング娘。 『わがまま 気のまま 愛のジョーク』(Morning Musume。[Selfish,easy going,Jokes of love]) (MV)

田中れいなが卒業し、道重だけが「プラチナ期」を知るメンバーとなりました。キャリアの離れた後輩たちを一人で率いてく。そんな折、3作連続1位を取ったこの曲でモー娘。はようやくMステへの扉をこじ開けました。グループとして実に6年ぶりのMステは、9期以降のメンバーにとっては「初めてのMステ」。そこでモー娘。は「再ブレイク」を知らせるVTRとともに紹介され、「ハッピーサマーウェディング」と「わがまま気のまま愛のジョーク」をメドレーで披露しました。「ゴールデンの音楽番組で新曲を披露する」という、当たり前のようなことが当たり前でなかった。初めてのMステを終えた後、エースの鞘師はメンバーと円陣を組みながら涙を流していました。彼女にとってMステは一つの夢でしたが、プレッシャーのあまりいつも通りのパフォーマンスが出来なかったのです。あんな鞘師の姿を見たのは、後にも先にも初めてのことでした。

ところで、今のモー娘。を語るうえで必ず出て来る「フォーメーションダンス」という言葉ですが、それを明確な「売り」として単語で出されたのはこのMステが初めてだったように思います。一言で伝わる武器が当時の娘。には必要で、戦略として生まれた、モー娘。がチームとして掴んだ武器が「フォーメーションダンス」でした。賛否は色々ですが、この「わかりやすさ」は絶対に必要だったのだと今も強く感じています。

 

9. もう特別じゃない武道館


モーニング娘。'14 『What is LOVE?』 (MV)

2013年の秋ツアー、モーニング娘。は千秋楽を日本武道館で迎えました。誰も卒業を控えていないアリーナクラスは、私が娘。に通い始めてから初めての出来事でした。もう卒業特需に甘えなくても、今のモーニング娘。が見たいというファンだけで平日の武道館が埋められるのです。そしてこの「誰も卒業しない武道館」を誰よりも喜んでいたのは、彼女たちをここまで導いてきたリーダーでした。

「今回のツアーが、先輩も同期もいない初めてのツアーでした。正直、大丈夫かなーって思いました。……でも、大丈夫でした!

なんでだと思います? ……それは、後輩たちが頼もしくなっていたからです。」(道重さゆみ

【ライブレポート】モーニング娘。日本武道館公演でツアー完走。道重さゆみの言葉にメンバー涙 | モーニング娘。'16 | BARKS音楽ニュース

 

 

10.勝負の年だぞ。モーニング娘。'14


勝負の年だぞ。ムービー

さて、2014年から、モーニング娘。はグループ名に「年号を入れる」という改名に踏み切りました。

「2014年で命名より17年になる『モーニング娘。』ですが、この先も10年20年30年とグループを存続させて行く為にも“○○○○と言う曲名のシングルっていつ頃の歌だっけ!?”や“○○さんって、いつ時代のモーニング娘。だった?”などという素朴な疑問が即座にわかっていただければと思い“年”を表記することにしました」(つんく♂

グループ名という大切な看板に鉈を振るうということでファンの声は当初批判的でしたが、今になって思うと「過去と明確に区別する」という点では成功だったと思います。とにかく、「今」のモーニング娘。に目を向けてもらうことが必要でした。ちなみにこの映像はメンバーの紹介動画としてよく出来ているのでとってもおすすめ。メンバーの個性がどんどん開花しています。BGMになっている「君の代わりはいやしない」はソチオリンピックの日本代表選手団公式応援歌でした。

 

11. ついにきた大型タイアップ!auと作った「モリ娘。」


モーニング娘。'14『Password is 0』(Promotion Ver.)

 いやー、もうね。発表前にね、つんく♂さんがね。オタクで遊ぶんですよ。何か大きな発表があることは匂わせるのに、それが良い発表なのか悪い発表なのかはわからない。悲観的にとらえて、「総選挙制度採用だったらどうしよう」なんて泣いていたら、この超ド級のビッグニュースでした。オレンジ色の制服を来て、「ゼロ♪ゼロ♪ゼロ♪」と歌って踊るモー娘。が信じられない程沢山TVに流れて、この時期はauのCMが始まる時の「ポーン」という音が鳴っただけで反射で画面を見ていました。やっぱりTV露出という意味で「携帯キャリアのCM」というのは本当に大きくて、このおかげで「モー娘。ってまだいたの?もう解散したと思ってた」という言葉が一掃できたと思います。

 

12.道重さゆみ 卒業発表


道重卒業発表!、スマイレージ横浜イベント&Weekly Smile、ベリセレ!、J=Jイベント MC:和田彩花【ハロ!ステ#65】

(動画44:14~)

2014年4月29日、出身地である山口での凱旋公演で道重さゆみは自身の卒業を発表しました。これは是非、彼女の言葉で聴いて欲しいと思います。

 

13.全盛期は、一度だけとは限らない。


モーニング娘。'14「全盛期は、一度だけとは限らない。」 道重さゆみ

 

 14.2014年11月26日 道重さゆみ卒業


道重卒業公演、スマイレージOA、ベリセレ、J=J JOL原宿、MC:徳永千奈美・小田さくら【ハロ!ステ#95】

 (動画10:11~卒業スピーチ他)

 

道重さゆみの卒業を以て、一つの時代は終わりました。でもそれはモーニング娘。にとっては一つの通過点にしかすぎません。誰かの加入も誰かの卒業も、連綿と続く流れの中では一つの出来事にすぎません。しかしその出来事から物語性を見いだせるのが、見つめ続けて来た者の特権なのかもしれないと、見つめ始めてから5年が経った今思っています。

 

15.イマココカラ始まる


モーニング娘。'15『イマココカラ』(Morning Musume。'15[Right Here, Right Now]) (Promotion Edit)

私たちは普通の女の子

だけど何か出来ることあると思う

2015年春。道重さゆみの卒業後、モーニング娘。が初めて発売したシングルには映画プリキュアの主題歌となった「イマココカラ」が収録されていました。新たに12期の4人も加入し、少女たちのグループというイメージがより強くなった新体制のモーニング娘。にやって来た初のタイアップがプリキュアだったという事実が私はとても嬉しく思いました。

私は、いつの時代もモーニング娘。は女の子たちの憧れの存在であり続けて欲しい。新リーダーとなった譜久村聖(ふくむらみずき)が月島きらり*1に憧れてオーディションを受けたように、憧れが憧れを呼ぶ存在でいて欲しいのです。

モーニング娘。のプリキュア主題歌。そのニュースに隠されたもう1つの感動秘話とは?

 

16.ついにきた!全員エース時代突入


モーニング娘。'15『Oh my wish!』(Morning Musume。'15[Oh my wish!]) (Promotion Edit)

先述の「イマココカラ」で兆しを見せていたとある事実が現実となったのが、2015年8月にリリースされたこの「Oh my wish!」でした。加入から5年間、ずっとエースでありセンターであり続けた鞘師をダンスに専念させたこの曲で、ダブルセンターを務めたのは10期の工藤遥と9期の鈴木香音でした。工藤は2014年の舞台で重要な役を見事勤め上げてから、一皮も二皮も向けてめきめきと頭角を現していました。鈴木は「ぽっちゃりキャラ」が定着していましたが、奮起してダイエットに成功し、そのことによって自信がついたのが目に見えてわかりました。二人の大抜擢こそ新時代突入の狼煙であり、明るい未来でしかないのでした。

 

17.モーニング娘。は止まれないと思い知った エース鞘師の卒業


モーニング娘。'15 鞘師里保卒業記念ムービー「君がいてくれて、よかった。」 Special ver.

モーニング娘。加入から5年。17歳で卒業発表。それはモーニング娘。の歴史から考えるとけして短い訳ではなく、早すぎる訳ではありません。ただ、今まで見て来たのが10年を超えた高橋愛に始まり、12年在籍した道重さゆみだったので、驚いてしまったのです。

「9期メンバーオーディションは鞘師を入れるためのオーディションだった」と言われるほど、モーニング娘。に多大なる影響を与えた鞘師。彼女が居なかったらモーニング娘。は「ダンス」を武器に選ばなかったでしょう。

この動画では、私が初めてのコンサートで見て度肝を抜かれた「加入して3か月の鞘師」が0:49から見ることができます。根っからのダンサーだった鞘師が、ダンスを続けるために卒業を選んだのは自明の理でした。鞘師がいたモーニング娘。を見逃さなかったことが私の誇りです。

2015年12月31日、鞘師はモーニング娘。を卒業しました。

 

18.そしてこれからも変わり続ける。鈴木香音卒業発表


モー娘。'16 鈴木卒業発表、アンジュルムツアー、J=J、℃-ute常識、萩原ヘアアレンジ MC:鈴木香音・小川麗奈【ハロ!ステ#155】

(動画0:40~ 卒業発表)

2016年2月7日、鞘師の卒業から僅か2か月後、同じく9期の鈴木香音が卒業を発表しました。2016年春の全国ツアーをもって彼女はモーニング娘。を卒業し、芸能界を引退します。彼女をステージの上で見られるのは「今」しかありません。彼女がいるモーニング娘。を見られるのは「今」しかありません。彼女に限らずどのメンバーも、いつかステージを去ります。寂しいことですが、悲しいことではありません。卒業というのはその子がモーニング娘。という物語の「主人公」になる順番です。次は香音ちゃんの番ですね。どんな物語になるのか、今からすごく楽しみです。

 

という訳で、これが私が見つめて来たモーニング娘。の5年間の一部でした。これで興味を持ったという方がもしいたら、今からでも全然遅くないですよ、ということだけ伝えたい。きっとこれからの5年間も過去の5年間と同じぐらいドラマチックになってしまうと思うので、見ているうちに自然と「自分のモーニング娘。物語」が生まれます。

ちょうど春ツアーも始まるので、よかったら会場に遊びに来てくださいね。モーニング娘。'16があなたを待っています。

 

(参考)

モーニング娘。’16:コンサート&イベント|ハロー!プロジェクト オフィシャルサイト

おいでよハロプロのライブ #おたく楽しい - ラッコの海水浴

 

 

*1:きらりん☆レボリューション」で当時モーニング娘。だった久住小春が声優を務めたキャラクター